軍団モモオ

　　今朝、アダルトな気分でプリキュアを見ていると、今日はセンター試験ということを思いだしました。そういやオレも昔、受けたんだっけな、ふとあの頃の記憶が蘇ってきました。

　私なんて働くのがイヤで進学したいだけの目標も夢もない生徒でした。授業中、前の女の子のブラの跡をたどりながら、オレはこれからどんな人生を歩いていくんだろうと他人事のように考えるだけでした。そして、クリームパンを食べ、甘い夢を見て眠っていました。ともかく勉強も仕事も大嫌いでした。

　もちろん、センター試験など受けても無駄だと誰より知っていた私でしたが、オリンピックは参加することに意義があるのだと説得され、試験を受けることになりました。

　試験会場に行くと、隣に座った女の子が両手を組んでブツブツ言ってます。ミチコ、大丈夫、ミチコっ大丈夫！と繰り返し天に向かって唱えています。ミチコはでかい目覚まし時計を取り出して机のすみっこにセットしました。もしや、試験の終了と同時に鳴らすつもりなのか！私は気になって最期の悪あがきが手につきません。

　前の奴も、ゴリゴリ鉛筆を削り続けています。小学生のクラスに教師の机に金具で固定するでかいタイプの鉛筆削りです。やつの机にしっかり、金具で固定されています。

　今日でオレの人生が変わるかもしれないのに、なんでこんな変わり者に囲まれるんだろう？私は気が散って仕方がありませんでした。

　試験が始まると、ミチコの目覚まし時計がけたたましい音を立てました。そしてミチコは試験終了時間に合わせ直しています、こいつ敵ながらあっぱれ！私は笑ってしまいました。

　試験が終わり会場を出ると、たまたま取材に来ていたマスコミに、試験どうでした？とインタビューを受けました。簡単すぎて反吐が出ましたと答えましたが、実際は半分も出来ませんでした。ミチコのせいです。

　私は帰ってから勉強でもすればいいものを、りりしい私の姿が自分がニュースに出るかもしれないと遅くまでテレビをチェックしてしまいました。結局、私の姿はテレビに映ることはありませんでした。

　もう、昔の話です。せんじつ、同窓会に行くとセンター試験にこんなアホウがいたと話していると、私自身も試験中に、「ふ～ん、なるへそ。そっか、そっか！」と独り言をつぶやいていたのだそうです。ミチコのせいです。

　私とミチコと前の席で試験中にゴリゴリ鉛筆を削るやつのゾーンは、魔の三角地帯と呼ばれていたそうです。

　あの試験のあと、目覚まし時計の音で起きる度、私は試験会場にいるようなイヤな気分になったのでした。ミチコのせいです。