軍団モモオ

　　 こう寒いと子供たちが、子猫や子犬を拾ってきそうな冬が嫌いです。子供たちは、かわいいという理由より、可哀想だから、見過ごせずに拾ってきてしまうのです。

　うちの妹も、すぐに子犬とか拾ってくる子供でした。３匹、子犬が捨ててあったら売れ残りそうな、一番可愛くない子犬を拾ってくるのです。

　もちろん、うちの親は犬など飼うつもりはありません。

　「そんな汚ならしい犬捨ててきなさい！」と親に言われると、うちのお兄ちゃんの方が汚らしいと、私を遠くに捨ててこようとしました。

　妹は、子犬を捨てにいかされ、追いかけてくる子犬を全力で振り払うという悲しいシーンを繰り返すうちに、私もカワイくしなければ捨てられるかもしれない、私もこんなふうされるかもしれないと思い込むようになりました。

　それから、健気にも妹は父にお酌をしたり、家族の前で全力でベリーーダンスを踊るようになりました。

　ある日、妹は私に、「私、かわいい？」と聞いてきました。「可愛く見せようとしてやることなんてのが、一番みにくいのさ。」、そして私は悩んでいる妹に新しい作戦を教えました。

　カワイイよりも、かわいそうだと思わせたら、女は勝者になるのだ、子犬を可哀想で拾ってくる妹だから余計に、この作戦が納得できたようです。

　それから、妹はどんどんかいわいそうな女になっていきました。私にオヤツを取られても、じっと耐えます。妹をペットのように扱い始めた私と弟に、心配した両親は本物のペットを飼わなければいけないと思ったようです。

　それで、私んちでは犬を飼うことになったのですが、最初は喜んでた妹でしたがすぐに散歩にも行かなくなりました。妹は可哀想な犬を拾ってくるのが「私って優しい」と思ってるだけのだけの無責任な女でした。そうして、すっかり妹から見捨てられた可哀想な犬を私が散歩する日々が始まったのでした。