軍団モモオ

　　今日は、とても寒く、こうやってパソコンの前に座っていても吐く息が白いです。子供のころは、それがちょっとずつ、魂が口から抜けてってるように見えていました。

　まだ私が、大人は股間に何かが生えてくることを知らなかった小学生の冬のことです。私が学校に行く時間は、いつも決まっていました。それは大好きだった女の子のすぐあとを歩くためです。私は彼女の後ろを同じスピードで歩くのが好きでした。まだ、近寄るにはなんか恥ずかしくて、変わらない距離のまま追いかけていたのです。

　そして、とても寒い日、寒すぎて彼女の吐く息は真っ白でした。寒さで赤く染まったホホと真っ白な息。私はどうしても、その白い小さな息が欲しくて切なくなりました。あれは絶対にストロベリーの香りがするにちがいないぞ、私は彼女が転んだ時に確認したイチゴがらパンティーを思い出して身悶えていました。

　しかし、息をくれともイチゴパンティーをくれとも言えない臆病な私がそこにいました。どうしてそんなものを欲しがったのかよくわかりませんが、今ではパンティーをくれは挨拶のように言えます。

　ともかく、私は彼女の白いため息が欲しくて学芸会用に彼女がふくらませた風船をこっそり盗んで持って帰ってしまいました。家に帰ると風船を冷蔵庫に１時間ほど入れてみました。それから私はドキドキしながら風船の空気を吸ってみたり、耳の穴に吹き込ませてみましたが、虚しく風船がブブブブッ、と音を立てただけでした。

　本当に虚しい、私は初恋というものがこんなに切ないものだとはしりませんでした。とりあえず、ショックを受けすぎた私は妹のイチゴパンティーも履いてみました。本当に虚しい、あまりに似合わない自分にショックを受け、迷わず妹に見せにいきました。

　それから私は、初キッスはストロベリーの味という噂を聞くたびに、「ウソだね、ゴム風船の味さ。」と仲間に教えてあげました。しかも、すっげー音がするぜ！。