軍団モモオ

　　昨日っは、どんぐり１号と高校生の県展に行ってきました。絵とか写真とかの。受付の女子高生二人が、ボールペンを絡ませるように、ノートにイラストを描いています。お互いの裸を描いてたりしてはいないか、心配な私は、のぞきこみます。二人は、小さな声で恥ずかしそうに「こんにちは」と言いました。

　田んぼの中でコスプレしてる写真とか、のどかな作品が並んでいます。お母さんと一緒に自分の作品を見に来てたりして、微笑ましくて。

　今日は私の弟子の作品を見に来たのです。だって、私はハイパーメディア師匠（エコ）ですから。

　でし、その女子高生との出会ったのは、少し前のことです。彼女は悩んでいました、これからの人生のこと。アーティストになってお母さんに楽させてあげたいのです。それでも、プロ野球にドラフト指名されて、FAでメジャーリーグに行けるのどうか悩んでいたのです。

　ライバルたちは、いやらしいオッパイを描けるのにと胸を痛めていました。そして、すっかり自信をなくしていました。

　「どうやったら、アーティストになれますか？」

　彼女は、自称なんとかアーティスト（えこ）の私に聞きました。しかし、私はプロではありません、しかも、絵を描くのが嫌いです。

　私はひとつだけ教えてあげました。「オレがアーティストなんて言ってるのは、冗談なのさ。」

　アートなんて、うちのクソ犬の散歩中にクソ犬がいつもと違うウンコをしたとしたとき、そのウンコを見ながら、うちの犬はアーティストだからというふうに使ってればいいんだよと。

　そいうわけで、彼女は私を師匠と呼ぶようになったのです。

　彼女はこの会場のどこかで、こっそり自分の作品を見てる観客をみているのかもしれません。自分の作品を素通りされて倒れそうになっているかもしれません。

　どんぐり１号が、私の師匠という写真を見てニヤついています。東南アジアの上田正樹風のオッサンが道着を着て怪しい拳法のポーズを取っています。それは私の弟子の作品ではありません。

　ともかく、アーティストなんて自分で言い続けてればいいのです。なれなくても、変わり者ぐらいにはなれるのですから。

　「変態師匠～」、と弟子の声が聞こえてきます。後ろからパタパタ、足音が聞こえてきました。