軍団モモオ

　　どんなに才能があって努力しても、どうにもならないことは多いし、意外と自分の力だけでは成功しないものです。しかも、人間関係なんかより、運みたいなものの方が俄然、鍵を握っているような気がして、私は少し人生に疲れていました。

　ボロボロの心を引きずって、パチンコ屋に入ると、少し古い「あしたのジョー」という台が気になります。ダラダラと打ち始めると、力石～力石～力石！と青いアッパーカットの役物が出てきて、力石ゾーンに突入し、導かれるように大当りしました。そのまま閉店まで連荘は止まりません。

　ちょっとした貧しい国の年収分ぐらい稼いでしまった私は、急に海が見たくなりノンアルコールビール片手に車を海に向けました。（ノンアルコールビールを飲みながら車に乗ると飲酒運転気分を堪能できます。）

　港に着いて、海を見ていると石碑が建っていて、丸っこい６０キロくらいの石が３個、横たわっていました。これは力石といい、むかし若者たちがこの石を持ち上げて力自慢を競ったそうです。

　力石にそっと触れてみると、モノクロ（ゼブラ柄）の天使の映像が後頭部の少し上に浮かんできました。天使は力石を指さしてニコニコ笑っています。確かに、今日は力石の日だったな、とつぶやくと私は英語では力石をパワーストーンと言うことに気がつきました。

　大事なことに気づいてしまった私は、さっそくパワーストーンを卸から購入してブレスレットを作ってしまいました。

　それから、色んな不思議なことがありました。私がゴハンが美味しいな～なんでかな～と言うと、どんぐり２号はパワーストーンのせいだよと言います。タバコが美味しいんだけど、なんでだろうな～と言うと、ドングリ（サクラ）２号はきっとパワーストーンのせいさと言います。

　私が歩くとブレスレットがガチャガチャ言うので、みんなは鎧を着てるみたいと言います。けど、このパワーストーンが鎧のように、僕を守ってくれてるんだって、私は答えます。

　なんか、とても幸せになれそうな気分です。

　このブレスレットでぼろ儲けして幸せになってやる！ワ～ハッハッハッハッと笑う私のそばで、モノクロ天使は私の腰にまとわりついてニコニコしていました。