軍団モモオ

　　衣替えで女子も薄着になり、「君い、こんなに胸でかったのか」という感動の季節がやって来ました。私の感性は鋭く、女子わきの８x４石鹸タイプも無香料タイプも、かぎわけて辱めます（いやあ～ん）。シャンプーの匂いが女の子の香りだと信じてるような中学生とは、しょせんモノが違うのです、私は。

　大人のコミュ力という本の中に、より深く他人と親しくなるために、相手の匂いを記憶するレッスンというのがありました。そのレッスンがすすめば進むほど、「足の匂いをかがせろ！」と言えば言うほど嫌われるという逆の結果になりましたが、それでも靴の中に重曹を入れると臭くなくなるという知恵を手に入れました。弟も大喜びです。

　しかし、現代人というのは色んな人口香料で武装していて、人間くささというものを喪失していっているのです。レッスンが進むと、同一女子の襟元からシトラス、下半身は緑茶という不揃いな香りに私の鼻は混乱していきました。私は、ただケダモノのような恥ずかしい匂いを知りたいのです。そして、「このケダモノ！」と言われてみたいのです。人間の純粋な香りに包みこまれて、ただ、ホッとしたいのです。

　私は「心地よい不潔さ」、という本当の香りに出会うため、今日も旅をします。

　小学生３年位の女の子が下校中、暑かったのでしょうか、スカートをまくしあげて額の汗を拭いていました。下着、丸出し。それを見て興奮しなかった私も、まだまだ捨てたもんじゃありません。

　私はその子を見て、汗の匂いという大事なことに気付きました。女子学生の体操着の中にこそ、私の求めている香りがあるはず、私はそう確信しました。

　そういうわけで、私に生まれて初めて、やりたい仕事が見つかりました。

　洗濯屋さんです。

　そのむかし、洗濯屋ケンちゃんという有名な裏ビデオがあったそうですが、私は「なるほどなあ」と感心していました。