軍団モモオ

　　 ちまたにある物語を眺めてみると、刑事ドラマや犯罪ものが大半です。人は犯罪が大好きなんじゃないかと思ってしまいます。勧善懲悪が好きというよりも、悪役のほうが人気があったりするから、人間というのは複雑な生き物です。

　ある日、後輩のうちに警察が訪ねてきました。後輩の原付が犯罪に使われた可能性があるのでアリバイを聞かれたのだそうです。なんの事件ですか？と聞いても、「お教えすることは出来ません。」と刑事は言いました。後輩はなんでか、「婦女暴行ですか？」と聞いたそうです。

　後輩もなんで、そんなこと言ったんだろう？と後悔していました。私たちは、それから彼をレイプマンと影で呼ぶようになりました。

　先日、彼と駅で雨宿りをしていると、パンツが半分、出ているような女子高生も雨宿りしていました。その子は気さくな娘で、後輩に、この辺は変質者が多いので怖いのと言いました。私は、それは狼に、この辺は狼がいるんですよ！と言ってるようなものだとあきれましたが、後輩は「婦女暴行ですか？」と聞いていました。

　なぜか後輩が、僕が捕まえてあげるから安心しなさいと言いました。

　私は、このあと、後輩が警察署の前で雨宿りしながら、「私が、あの変態です。」と自首する姿を思い浮かべて、雨を眺めていました。しかし、よく考えてみると後輩にはアリバイがありました。警察が聞きに来た日は私と一緒に飲んでいたのを思いだしました。

　私のパワーストーンブレスレットに対抗して、僕の股間にはゴールデンパワーストーンが２個あるんだ！と言っていました。この近所に現れる変質者もよく知っているのですが、それはノーパンに黒いホットパンツのオジサンや、犬を亀甲縛りにして散歩しているオヤジなのです。

　決して彼でないことを私はよく知っています。彼はバイクを貸してくれる、とてもいい後輩なのです。

　私は、女子高生達と、目を会わさないように雨の中を走り出しました。

　すこし、雨が強くなりました。