軍団モモオ

　夢というのはときに、かなわないほうがよかったんじゃないかと、私ぐらい長く生きてしまうと、ふと思うことがあるのです。

　私の知り合いにKという後輩がいます。物心つくころからAVざんまいで、なりたいものはAV男優でした。Kは高校を出てまっ先にAV男優のオーディションを受けにいきました。面接では成績１位（なんの？）で入社が決まり、今日は初仕事と就職の打ち上げでした。

　Kは打ち上げ会場のビアガーデンに、尻を押さえて内股で入ってきました。半泣きなので、理由を聞いてみると、初撮影にどんなAV女優がくるのかと楽しみにしていたら、AV男優がたくさん登場して、代わる代わる彼の体をオモチャにして犯していったのだそうです。

　その初体験に彼は仕事をやめると、粗挽きウインナーで生大を飲んでいました。

　私は遠い目をして、彼を慰めていました。今の時代、専属（性社員）というのはなるのも難しいぞ、企画男優（派遣）からアイドルになる前に無修正（アルバイト）に落ちていく女優に何度お世話になったことか・・・。

　「あと、３年だけ頑張ってダメならそのとき、辞めればいいじゃないか。」

　私は、そう彼にアドバイスしました。

　kはなんとか踏ん張って、それからは仕事に全力で体当たりしていったようです。最近は、仕事にも慣れたようで仕事にヤリガイというものをみつけたようです。近頃は、私の下半身に興味を示すほどです。

　それでも、Kのそばから友は去っていったし、両親には縁を切られそうでした。

　それでも彼は前向きに夢を私に語ります。色んな蔑みや、困難だけがあったけど、自分が産まれてきて、なんでこんな仕事をするか、意味が分かったと言います。こういう仕事はドロドロして暗い世界だけど、僕はきっと明るく爽やかに、この世界を変えてみせると言います。そして、私の下半身を熱い眼差しで見つめていました。

　逃げるように店を出た私は、スポーツ感覚！爽やか３０００円ポッキリという看板を見ながら、爽やかコークを飲んで必死に酔いを覚まそうとしていました。