軍団モモオ

　　 私は他人とは感覚が違うようで、やばそうな所へは入ることが出来ません。ある雨上がりのことでした。街に虹が掛かり、虹の生まれたところは近所で、行ってみたのですが、そこには小さな木が３本立っていました。私はそこには立ち入ることすら出来ませんでした。

　おごそかというか、怖いのか、理由は分からないけれど、足が進まないのです。それが結界というものかもしれません。誰もいない見知らぬ寂しい土地に鳥居があったり、仏像があったら、足がすくむあの感覚の最上級とでも言ったらいいのでしょうか？気のせいと思う世界に確かに何かが存在するのです。

　最近、２８才の処女と知り合いました。彼女は恥ずかしいので、早く私に卒業させて欲しいのだといいます。私は毎日、早く卒業させてあげたかったので、あっという間に終わらせるよ！と彼女を勇気付けていました。

　彼女は人生２回目の男性とのデート（相手は私）に両親を連れてきました。新婚さんいらっしゃい！の公開録画に連れてこられました。肩身の狭い私は、三枝よりも先にププププッと椅子から転げ落ちました。これが噂の処女結界か！彼女のパンツには封印の御札が貼ってあることも、なんとなく感じ取れました。

　これは新手の見合いだということを私は確認しました。

　彼女の両親が、私以上に彼女を愛していることは明白でした。結界の奥にあるものは何かを守りたい心で、そこにあるのは彼女を守りたい愛情だけなのだと私は知りました。だから、私は入れないのでしょう。

　気が付くと私は、そこから永延に逃げ出していました。そこに入る覚悟はつかなかったのです。彼女を愛せても彼女の両親まで愛する自信がなかったのです。

　結界というものの仕組み、人が守るもの、誰かに見られてる感じ、それが結界。私はそれがワナだということをなんとなく理解しました。結婚も、就職も、人生も・・・・・。