軍団モモオ

　　 早いもので、明日から１２月です。今年も、橋の上から飛び降りもせず、橋の下で寝ず頑張ってきました。

　いいこともなければ、悪いこともない一年でした。が、それが幸せだと気づいてさえいれば、今夜も鍋パーティーです。今夜は、ちょっと豆腐が美味しいと泣きたい気分なのです。

　今日、近所の変態少女と呼ばれていた祥子お姉さんに偶然ばったり裏町で出会いました。祥子お姉さまと呼んでた頃、彼女が中３、私は小学５年生でした。祥子お姉さんは、今ではブティック（自分もマジックミラー越しに並んでいる）で働いていると言います。

　彼女がなぜ変態少女と呼ばれてたのかというと、触らせ魔だったからです。パンツを人に見られるよりも、誰かにオッパイを触られている方が百倍、気持ちいいが口癖でした。

　彼女が、そんなふうになったのは、とある満員電車でのことです。ぎゅうぎゅう詰めのラッシュアワー、彼女は顔面蒼白の美青年に胸を揉みしだかれていました。青年は済まなさそうな声で、すいません、すいやせん、と言いながら、祥子お姉さんの吐息でガラスが曇るほど乳を鷲掴み放題でした。

　祥子姉さんはそのとき、下を向きながら気持ちよさのあまり、乳首の先から快楽波動砲が発射されるのを抑えきれませんでした。

　そんなころ、私は彼女と出会ったのです。私がテクテク鼻水を垂らしながら橋の下の秘密基地で拾った大人の本のオッパイを見てドキドキしていると、祥子お姉さんが獲物を見つけた鋭い女豹の視線でやってきました。

　「ねえ、本物、触らせたげようか？」

　祥子お姉さんは、イタズラする気満々です。私はもちろん「はい！」と答えていました。お姉さんは、でもダメと焦らすだけ焦らし、自分も興奮させるテクニックで子供を弄んでいました。

　「オッパイは豆腐のようにやわからいの、だから壊しちゃダメよ！」

　お姉さまの許可が出たので私はいじり倒しましたが、子供には、ただの肉塊で「王様も裸だ」！と言ってしまう子供と同じように本当のことを言ってしまいました。

　「豆腐って？木綿豆腐みたい。」

　私がそう言うと彼女は怒って、私の下半身を全力鷲掴みにして行ってしまいました。私はもんどりうちながらも少しだけ嬉しかったのを覚えています。

　私は、彼女にその時のことを謝りました。すると、彼女は笑って、今度お店に来てね！と言います。どうやら、許してくれたようです。

　今日は、豆腐の鍋に飲みながら、誰かにそんな昔話をしてみよう、そんな気分です。

　酔って大事なことを忘れる前に。