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冬の雨

   今日は、雨が降ったり止んだりで。人生も、そんなものなのか、少し昔のことを思い出しました。

 それは冬の雨の日のことです。

 あれはちょうど、冬が始まり私の誕生日パーティーをしてやるから(お前の金で)飲みにきやがれ!というスナックからの営業電話がありました。AVを見るより予定も無かった私は、予定をこじ開けてスナックに足を運びました。

 その店では私のためだけの王様ゲームが始まることもなく、ちっこいショートケーキにローソクが刺さったのを見ながら水割りを飲むという、ひとりぼっちよりも寂しい誕生日会が始まりました。

 私は、そんなローソクを見ながら、このローソクが燃え尽きたら酒をやめようと決心していました。

 そんな時に、なぜだか天使は舞い降りるもので、そこに売れない演歌歌手のマネージャーが入ってきました。一曲、歌わせてやってもらえないかという話です。ママは今日、誕生日のさみしい男がいるからハッピーバースデーだけ歌って帰ってくれ(私も500円払わされた)と言ってくれました。

 店に、すごすごと和服を着た30台後半の不幸の似合う女性が入ってきました。私をガン見して一夜だけの恋人のようにハッピーバースデーを歌ってくれました。

 私はお礼に彼女に一杯だけビールをおごりました。

 「都落ちかい?オレとおんなじだ。」

 と私が話しかけると、いつか都に行く予定です、と彼女は言います。

 「いつか自分の好きな歌だけ歌える日が来るといいね。でも、歌い終わると別世界が始まるのが辛くてね。」

 私は、そう言うと彼女に最期の500円を握らせました。彼女は深々とお辞儀して、「今度どこかで会ったら今度は、私のために歌ってくださいね。」と言うと、彼女のマネージャーが店のドアを閉めました。

 気が付くと、私のためのケーキはミーコちゃんがたいらげていました。 

 そのとき、雨が降り始めて、私は着物姿の歌うたいの彼女が心配になりました。傘だけ渡そうと店を飛び出しましたが、もうどこにも彼女の姿は見当たりませんでした。それから、どこかで彼女の晴れ姿を見ることもありませんでした。


 誰かが私のために精一杯、歌を歌ってくれたから、それを今でもこうして覚えているののでしょう。うまいとか、下手とか関係なしに。

 「誰かのために精一杯、歌えるだけで幸せなんだろうな。」

  私は、彼女の微笑みを思い浮かべ、雨の中を歩いていました。

 

 

 

 

 

 

 

 
 

  

 

 

 

  

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非公開コメント

No title

普通にいい話でビックリしました。

でも、演歌歌手にハッピーバースディーだけってのはちょっと可哀相ですね。
持ち歌歌ってもらったら、上手かったかも知れません。

冬の始まり、もうすぐお誕生日なんでしょうか?

No title

あまりの寂しさで幻覚をみたのでしょう。

Re: No title

 ダークアレッサ様へ

 そのあと、ダンサーが一曲おどらせてくれとやってきましたが、ミニスカートも履いていない卑怯者だったので追い返しました。

 ちなみに、私の誕生日は1月30日です。

Re: No title

   美憂さまへ

 そう言えば、ケーキのまわりに7人の小人が死んでいるのが見えました。

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