軍団モモオ

　 今日は少し暖かかったので、公園で物思いにふけっていました。自分の頭より大きなサッカーボールをヘディングして泣いてる子供がいます。

　もうすぐクリスマスです。誰かの笑顔を見るために私は長年、サンタクロースとして生きてきましたが、今年はどうしようか悩んでいるのです。私はプレゼントをあげるだけのマヌケなオジサンで、孫達に搾取されてる祖父のような気分なのです。

　去年などはクリスマス翌日のゴミ箱に、私のプレゼントした大松人形が捨ててあったのを見て、心まで冷えきりました。

　すさんだ小学校なぞに行くと、サンタというだけで子供にローキックされます。

　私は間違っていたのではないか？そう考えていたのです。

　そこいくと、ナマハゲさんは「悪い子はいねが～。」と子供を脅し倒し、学校からイジメがなくなったと自慢します。「どうだ、お前も日本からクリスマスを一掃するため、ナマハゲサンタとして一からやり直してみないか？」とナマハゲさんに誘われているのです。

　酒のせいで鼻の赤いトナカイたちにも相談しました。みんなクリスマスくらいウチでゆっくり飲みたいと賛成してくれました。この、なんでもアマゾンが無料で配達してくれる時代、私はもう必要ないのでしょう。

　なんでも手に入る時代だしな、私はもうサンタなど止めることを決心しました。本当は寒いのも大嫌いです。

　サンタ引退の慰労会に赤鼻のトナカイたちとサンタコスプレの店に飲みに行きました。ですが、少しも楽しめませんでした。それはサンタコスプレの下に服を着ているせいかもしれません。

　店を出るときに、店の女の子たちが「また、来てね～。」と手を振っていました。それを見て、私は子供たちと「また来年も来るから。」と今年も訪ねていく約束していたことを思い出しました。

　小さい家に住む、ある優しい少女は「外は寒いから行かないで。」と涙目で自分用のちっさい防寒着をくれようとしていました。私は大丈夫、また来年も来るからね！と雪が降り積もる中に飛び出したのでした。

　私は、そんな心暖まる場面を思い浮かべながら、大事なことに気がつきました。
　
　「そうか、サンタコートの下に服を着れば暖かいのかもしれない！」

　私はコートの下に服をはかない主義だったのですが、今年はヒートテックを着て子供たちの家を回るつもりです。

　そのサッカーボールより小さい笑顔のために。