軍団モモオ

　　 飲みに誘われたのですが、今日は断りました。

　「いや～（小指を立てて）これが、ふくれてるもんで今日は勘弁してくださいよ～。」

　そう、私の足の指は紫色にパンパンに腫れ上がっていました。酔っぱらって何かにぶつけたのでしょうが、まったく記憶がありません。

　「きっと、酒につまづいたのさ。」と、酒で人生つまずいたドングリ１号は吐きすてます。

　そう言えば、私が小指を腫らす前の晩スナックに行ったことを思い出しました。私はカラオケを歌うときはマイクの小指は必ず立てるのですが、それを小娘に「きしょっ！」と言わたのです。

　「人生の赤い糸は小指につながっているのさ」

　そう言って、私は小娘ハートの秘孔を小指で突きました。

　私が小指を立てるようになったのは、カラオケ教室に通っているた頃のこと、カラオケもレーザーディスクの時代でした。その頃の私はサビは全力で歌い、歌い終わったら死んでもいい！ぐらいの覚悟で歌っていました。

　それまでの人生、何も全力で取り組まずに生きてきた私は、全力で歌い叫ぶことしか出来なかったのです。

　しかし、それは皆に嫌がられたうえ、ノドを痛めただけの愚かなことでした。そこのカラオケ教室の先生が私に小指を立てて歌うようアドバイスしてくれたのです。そうすれば、力まずに自分の本当の力が出せるそうです。

　たしかに、小指を立てると力めないので女々しくなります。

　という話を小娘に、小指を立ててタバコを吸いながらしていたとこまで思い出しました。

　ウケるためだけに、小指を立ててカラオケを歌い、ウソをつき、挙句の果て足の小指をぶつけただけのことでしょう。

　もしかしたら、小娘が私の足の小指をグリグリ踏んでいたのかもしれません。

　腫れが引くまで、しばらく酒は飲まないでおこう、私は約束の指切りをしてみました。

　足の小指で。