軍団モモオ

　　連休なので、天然記念物級の変人も帰ってきたりします。ゲップが焼酎の香りの９０年代パンク仲間に会いました。パンクは歌がヘタクソで人生がヘタクソが売りですが、この男も生きるのはヘタクソでした。

　セックスピストルズは音楽機材を盗んで揃えましたが、この男はBOOKOFFでAV機器でないAVを盗んで捕まったこともあります。

　それでも、もう今は大人で、「離婚ホヤホヤ、オレはフリー（自由）！」とミニスカートの太ももを見ると彼の魂の叫びは爆発せずにいられないようでした。

　この男を見ると筋肉少女帯の踊るダメ人間という歌を思い出します。ダ～メ、ダ～メ、ダメ、ダメ人間、ダメッ！というサビの歌です。でも、何度も聴いてるとオレがダメなんじゃなく人間自体がダメなんだから、という気がして元気の出る変な歌です。




　やっすい居酒屋で二人で飲んで、昔の悪事武勇伝に花を咲かせていました。

　しかし、酒が入ってくると彼の現況は絶望的なのが、むき出しになってきました。彼はもうパチンコで勝ち続けなければ、橋の上から飛び降りるか、橋の下で寝るかしかない状況にまで追い込まれていたのです。

　私は筋肉少女隊の大槻ケンジの絶望先生のOP「リンゴもぎれビーム」を思い出していました。こいつ落ちそうなリンゴになってやがる、私はちぎれろビームを出していました。

　この歌は絶望の向こう側のちょっとこっち側へ行こう！（向こう側でなく）という歌で、そこは文学的な場所で物語が生まれやすい所ですし、シャングリラ的なところかもしれません。

　私は、そこで見つかる言葉や、景色や、秘密や、その何かを知りたいのです。

　それから、私は彼を勇気づけるため、外人オッパブ「ビッグあっぷる」に行きました。彼はその絶望のちょっとこっち側で女の子の乳首をもぎろうとしていました。

　たどたどしい日本語で、「ダメ、ダッメ～」という女の子の声が、彼の席の方から聞こえてきました。