軍団モモオ

　　 今日は、なぜか朝からラーメン餃子で一人乾杯をしたくなったのです。

　それは春の陽気のせいではなく、昨日の帰りラーメンを食べようと思ったまま酔いつぶれたせいです。いつもはモーニングサービスで一人乾杯ですが。

　この時期は真冬の恰好をすると、春の陽気で汗などかいたりしてビールが、とても美味しくなります。私は、わざわざ電車に乗り、遠くのラーメン屋まで出かけました。

　１１時、開店と同時にラーメン屋に入ると既に先客がいます。この店は心得たもので、お冷やなど持ってきてムードをぶち壊すようなことはしません。「水を持ってくる居酒屋があるか？」と、私にカラまれてしまうからです。

　餃子とビールが同時に出てくると私は一人乾杯をしました。乾杯とはグラスを合わせることと思っていたころ、私は馬場俊英のラーメンの歌を初めて聞きました。

　初めての給料をもらい、餃子とビールで一人乾杯をした～♪という歌詞があるのですが、私には一人乾杯のやり方がどうしても分かりませんでした。何度も何度も歌を聞いて、何度も何度も一人で乾杯を言ってみたのですが、すごく虚しかったのです。

　そのうち、一人ラーメン屋で餃子でビールを飲んでいることも惨めなことのような気がしてきました。周りの席の連中も、ぶつぶつ独り言を言っている私を色メガネで見ているようです。もっと、胸を張って昼間っからビールを飲まなきゃ！私は大きな声でグラスを空けるたびに乾杯をしてやりました。

　そのときに、乾杯とはグラスを合わせ、相手に「これから、もっと頑張れよ～」というのが本当の乾杯だと私は気づきました。

　そして、一人乾杯というのは自分を応援する気持ちでやるんだよ！と、ラーメンの歌から教えてもらったのです。

　人生というのは誰も応援してくれなかったら自分で自分を応援すればいいし、誰も乾杯してくれなかったら自分一人で乾杯すればいいんだよ、そうビールが言っているような気がして。

　きっと、私はビールと乾杯しているのでしょうけれど。