軍団モモオ

　　先日、七夕でしたが大型台風なんぞ来て、星を見ることもありませんでした。

　それでも七夕祭りというのは飲み屋業界では、毎年ちょっとしたイベントなのです。今では小学生しか七夕の短冊に願い事とか書きませんが、夜の酒場では浴衣祭りとセットで、短冊に○○ちゃんのオッパイが見れますようになどと、ささやかな願いを書いて水に流されるのが習わしです。

　今年も、「うちの女の子たちが浴衣を見て欲しいとパンツも履き忘れて待っているよっ！」と、スナック「ショッカー」のママの電話に騙され、今年も駆けつけてしまいました。

　店に入り、すっかり出来上がっていた私には短冊を渡されても願い事なんか、何も思いつきませんでした。歳を取ってくると願い事より、今より悪くならないか気になるばっかりで、少し諦めが入っているのかもしれません。

　こんなことではいかんと、勇気を振り絞って、「玉の輿に乗れますように。」など書いてみましたが、店の女の子に最低と言われました。

　他力本願の何が悪い？私はムカつきましたが私は自分なりに、自分が白いタイツを履い白馬に乗った王子様ではないことは分かっているのです。

　だから、黒いパンストを履いた女王様を求めて何が悪い？しょせん、誰も私の気持ちなど分かりはしないのです。私は、ただ自分の願い事を叶えることなんかどうでもよくて、他人が短冊に書いた願い事を叶えられるような人になりたかったのです。

　七夕の御利益など関係なく、誰かの短冊の願い事を覗いて、子供の短冊を見て頑張る両親とか、先生だとか、友達だとか、そっと見ていて力になってあげるから願い事を書いてごらん！そういうのが七夕だと、七夕とはそういう行事なのだと私は思っています。

　それは子供たちには秘密なのですけど。

　私は新たな短冊に○○ちゃんのオッパイが触れますように！と書きましたが、○○ちゃんはもう一度、最低っ！と言い放ち、タバコの煙を鼻から放り出していました。