軍団モモオ

　　　なんか世界がうるさかったので、小さなラジオを持って静かな場所へ行きました。そして、AMラジオのお手紙を読む番組を聞いております。

　アジの押し寿司が有名なところの人からのお手紙、その人は高校を卒業するまでアジの押し寿司とチラシ寿司しか食べたことがなかったとのこと。

　なんか古き良き時代の香り、なんかカッコよさげなので、私も高校卒業まで巻き寿司しか食べたことがなかったことにしようと思います。ついでに、高校卒業までラジオしかなかったことにし、今も正座してラジオを聞いていることにしました。

　昼前、人生相談の番組が始まりました。

　不幸を探して世界を旅をする旅人の私ですら、この番組の相談に乗ってくれるえらそうな人たちには毎回うんざりします。時間がなくなってくると、だからあなたはダメなんだよ！ととどめを刺します。

　さて、今回はどんなとどめを刺されるのかワクワクしていると、司会が果物の王様みたいな人に変わっていました。今回のちゃれんじゃー（相談者）は子供のころに父親に虐待されモヤモヤしている美大生です。

　今回もアドバイザーは絶好調、相談者に勝ち目はありません。結局はなんの解決策も出ず、がんばってね～で終了でした。すると、果物みたいな司会者がパンクロッカーの話を始めました。

　そのパンクロッカーは売れて満ち足りてしまってから、何もかもダメになってしまったそうです、歌も人生もすべて。人間は不幸な方が良い作品が創れるんだよと言います。他のジャンルのアーチストも、みんなそうらしいです。

　だあから、君もそのわだかまりを作品にぶつければいいじゃない！と臭い果物のような司会の人が言いました。

　私は生まれて初めて、この人生相談の番組に感動しました。私の人生の失敗すべてが偉大な作品を産み出すために、わざと失敗をしたのだと思えるほどでした。

　さあ、もっと失敗しなければっ！ラジオの前で正座したまま、私は小さく決意しました。