軍団モモオ

　　メガネが壊れたので、猿も売ってるモール街にメガネを買いにいきました。

　1時間くらいで新しいメガネが出来るので、しばらくブラブラすることにしました。メガネのない、ボンヤリした世界でも楽しもうと思ったのです。

　急に眼が悪くなった中学生のころ、まさか自分がメガネなぞかけることになるとは思わず、初めてメガネをかけて見る大好きだった同級生の女の子の顔は、ニキビだらけでびっくりしました。

　子供ながらに、初恋はよく見えないからこそ美しく見えるもの、そんな思いをいだいて想像の中で彼女をメチャクチャに犯しました。

そういえば小学生だったころの初恋の女の子は、あんなに好きだったのに大学生になってから会ってみると、鼻の穴の大きい何かに変身していました。初恋の人に会わないほうがいいもの、昔のことは昔のこと。

　過去のことも、これから起こるであろうことも、ぼんやり見えているくらいでいい、そう思いました。

　チラリズムを専攻している友人は、見えてないくらいのほうが美しい（興奮する）と言います。隠そうとする仕草や、絶対にあなたには見せませんという態度が、明日も頑張ろう（明日は絶対に見てやろう）という気持ちにつながっていくのだと熱く語ります。

　根っからの覗きストの友人も、普通に見たら平凡なものも覗くからこそに美しい（欲情する）といいます。

　結論からいうと、４K映像で毛穴まで見えるテレビで無修正のAVを見たところで、本当の満足を得られるかどうかは保証はどこにもないということです。

　性器にモザイクをかけるのは、それが猥褻というよりは、それがグロテスクであるからというのが一般的な考え方。あんなもの、見ないなら見ないで行為を行い枯れていくのが幸せです。

　性器が、なぜあんなにマヌケでグロいのかというと、性器そのものを愛すより人そのものを愛せという神の粋なはからいなのかもしれません。

　そんなことを考えながらブラブラ歩いていました。余計なものが見えないぶん、考えることに集中できたのです。

　時計をみると、ちょうどメガネができる時間になろうとしていました。