軍団モモオ

　　　去年、見よう見ようと思いながら見られなかった作品がありました。

　それはくのいちAVデビューという作品で、どういう家庭事情や生い立ちから、そういう仕事をするに至ったのか、また知り合いがくのいちになりたいと思ったときに、どうアドバイスすればよいのか、私は知りたかったのです。

　しかし、そのてのビデオは、みんなパンツを脱いで待っているものでしてインタビューなどいらんのじゃ！と思われる方々も大勢なのです。

　さしもの私もインタビューを頭から見る習慣がないものですから、なかなか敷居が、たこう御座いました。それでも、最期まで早送りせずに見終わった後に、暗殺や毒殺の闇の世界から抜けだし立派なAV女優になれて良かったとホッとしたいのです。

　そういう更生ドラマを見たいのですが、以前、覚せい剤で捕まった元アイドルがAVに出、AVのおかげで覚せい剤をやめられたと思っていたのですが、また覚せい剤を使って捕まりました。

　人生、裸一貫で何でもやり直せると思ったら大間違いのようです。

　なぜ私がくのいちにこだわっているのかと言うと、それは青春時代の喉に刺さった鈍い針のような思い出からなのかもしれません。

　そのむかし、まだVシネマなどという短い映画もどきの作品がツタヤに沢山ならんでいる時代のことでした。裸の付き合いをしている仲のよい女の子とくのいち忍法帳というVシネマを見ながら、しこたま酔っぱらっていたときのことです。

　なぜかロシア人くのいちが登場して、上半身を脱ぎ、乳を揉みしだき、
「くのいち忍法、乳しぼりー！！」
　
　すると、乳から泡が噴き出し、それを浴びてしまった敵の忍者は泡になり溶けてしまったのでした。

　そこは隣で見ている女の子の乳からも泡が出るのか確かめるべく、私は彼女の衣服を剥ぎ取りました。しかし、彼女の乳房は未発達のせいか泡を噴き出すことは出来ませんでした。

　それで、私は戦利品と言うか思い出の1ページのために写真を撮ることにしました。彼女は嫌がるかなと思いましたが、胸を隠さずに顔を両手で覆っていました。そして、
「くのいち忍法、頭かくして乳かくさず！！」
　と、のたまいました。

　そのとき、私は日本人でよかったなと、つくづく思ったのでした。