軍団モモオ

　　女子レスリングの生きる伝説、吉田沙保里さまがオリンピックで、お負けあそばされました。

　ああ、これでやっと引退できるねぇ～これからは女として幸せになってねと、こっちは思いますが沙保里さまは、
「とんでもないことになってしまった！」
　と号泣するのでございました。

　そこまで誰も求めてないのですが、今まで女子レスリングをメジャーにし、TVのゴールデンで流れるようにするため、女子便所に入ると怒られるくらい頑張ってきたのです、本人には言いにくいこともあるのです。
「女に生まれてよかった、男子だったら試合で２、３人殺してるだろうから。」
　とか、
「みんな私の超高速タックルを研究し警戒してくるから、全員タックルで片づけた。」
　そんな一人背負い立つクイーンのリップサービスを哀しい気分で私は聞いていたものでした。

　沙保里さまのような女王ですら、日本のために負けられない、負けたら恥ずかしくて生きていけない気分にまで追い込んでしまったのは、「村社会特有の恥文化」と呼ばれるものの一種でしょうか。

　日本人は大舞台に弱く前の晩、一睡も出来なかったり、本番当日顔面蒼白になっていたりするのは、試合に集中すればいい状態なのに無意識に強烈に刷り込まれた何かが邪魔をするのでしょう。

　そもそも、こういう恥の感覚は
「そんな金の稼ぎ方をして、きさま恥ずかしくないのか。」　　「弱いものをいたぶって貴様、恥を知れッ。」
　と、道徳的、美的に発揮されればいいですが、人間の奥深い本質的な欲求と要求は意外と悪質のものです。

　ほんらい、日本人は恥ずかしいものが好きなのです。誰それが不倫して離婚しただの捕まっただの死んだの、そういうのが大好きです。週刊誌を見てもTVを見ても、おめでたいニュースなどよりドロドロした愛憎劇と虚構。それは井戸端で交わされる日常会話からも明らかでした。

　これは性癖なので仕方がありません。といっても弁護させてもらえるならば、日本人は恥じらいというものを愛しているのです。それは、お姉さんの太ももの白さにうつむいてしまう少年であったり、好きな人の前で真っ赤になってしまう少女、そういう恥じらいをとても大切にしているのが日本人でもあるのです。

　素人物のAVしか見ない弟が言うに、恥じらいがない洋モノのAVは動物の交尾を見ているようだと言います。これはもう、分かりあうというのは本当に難しいことです。

　以前、ブラジルのサンバに出ていた乳首以外ほぼオッパイを出しているお姉さんに恥ずかしくないのか聞いたところ、
「見せオッパイなんでOK！」
　と言われました。

　それは見せパンとかと同じという意味なのか、オッパイは見せるためにあるということなのか、日本人の私には今一つ理解できないことでした。