食えそうにないキタマクラを釣った私は、美食倶楽部と大正ロマン風の刺繍が入った上衣を着ているのでした。

 美食倶楽部とは釣った魚をその場で調理して食べる集団で、その上衣は食べる以上の獲物は捕らない王者の証でした。そもそも、それは私が釣りをしながら酒を飲み、酔いに任せなんでも食しているうちに、そう呼ばれるようになっただけのこと。

 むかし、釣りをよく知らない私たちは、皆が気味悪がって捨てるヌルヌルのイソベラを平気でバリバリ食べたのでした。たとえそれが青酸カリの青い色をしていても、食ったらやばそうな顔の魚であったとしても。


                ↑食ったらやばそうなイソベラの図

 それを見た人々も最初はイソベラ以上に私たちを気味悪がっていましたが、そのうまそうに弟が食べる様は偏見こそが食事をうまくも不味くもしているのだと気付かされるのでした。きっとあのお方たちは、なんでも美味しく召し上がるのだろうと、誰かが私たちを美食倶楽部と名付けたのでした。

 評判は評判を呼び、いつしか私たちは飽食と乱獲に警鐘を鳴らすシンボルにされていました。前時代的な人々の中には殺したモノは全て食べさせるよう法を変えたら殺人事件は減るだろうし平和が来るだろうと言うモノさえありました。

 釣りたてが一番うまい!!ただそれだけだった私の思惑とは別に、美食倶楽部は違う道を歩むことになったのでした。

 そして、いつものように防波堤でフグを釣った私は、それを唐揚げにして食っていたのですが、クサフグなので毒などないのです。フグは自分で毒を食べて毒魚になる出世魚なのです。

 それを見ていたナチュラリストたちには、釣って殺してしまったフグの命をあがなうため、私が自分の命もかえりみずフグを食べているように映ったのでした。

 命とはそこまでしなければならないほど尊いものなのか、彼らはそう感嘆し、
「キングコブラに乳首を噛ませて自分の命を絶ったクレオパトラのように、あなたの覚悟は美しい。」
 そう、私に言いました。

 そんな伝説の中を生きる私がたった今、皆の注目の中、キタマクラを釣り上げてしまったのです。
「兄者~おぬし、そのキタマクラどうするおつもりじゃ?」

 見ないふりをしていた他の週末釣り師たちも、さすがにいっせいにこちらに集まりはじめました。

                                                つづく。 
 

 

 

 

 

 
 文学  13  0

コメント

No title

おっ!イソベラ君。なかなかいい顔をしてますね~…特に歯並びがいい^^
しっかし、他の魚?を捕らえて食うのが、食われる側になるとはさすがに本人…いゃ、本魚も思わなかったでしょうね。
上には上がいるもんです…人間は特にね。なにせ同族同士で食い合うのを生業にしてますからね~(笑)

Re: No title

 レタッチしてるので実際は、もう少しプリティです。本当は青酸カリ色のイソベラを使いたかったのですが、そんな気味悪いモノ撮らないで、しばしば後悔しています。もっと、気持ち悪いモノ、汚いモノこそ撮るべきです。

 そういうわけで、今度は魚を魚眼レンズで撮ります。

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