私の住んでいる死国は2月の初めに、もう菜の花が咲くのです。

 菜の花が黄色い花弁を開くと、冬は蹴散らされトドメを刺されるので御座います。ですから、どんなに冬が辛く厳しいものでしても、もう少し頑張ったら、菜の花が咲き、春の妖精が全裸で街を駆け抜けるような、暖かい春がくる、そう信じて人々は寒い冬を耐えていたので御座いました。

 私が小学生のころ、学校の先生がこう教えてくれました。ツクシが冬の地面を割って出てくるのは、ものすごい小さな力だけど、ゆっくり、ずっと地面をドリルしてるから、ダイヤモンドのような大地を破って出てくるのだと。

「みんなの持ってるつくしドリルは小っさくてフニャフニャだけどガンバレ、負けるな!」
 そう教えて下さったので御座いました。

 そして、私の同級生達はプロ野球選手になりたい男の子も、歌手になりたい女の子も毎日あきらめずに頑張っておりましたのでございます。しかし、野球選手になりたい男の子は肘と肩をこわし途方にくれ、アイドル歌手になりたかった女の子は派手な下着がタンスの中に増えていっただけでした。

 きっと、人生は気合いと努力でなんとかなるものではないように、つくしドリルでダイヤモンドは砕けないので御座いましょう。それから時は経ちまして、私は夕方のニュースなど見ておりました。

 TVでは、ど根性大根などと申しまして、ただの白い大根が、アスファルトを突き破って太陽に向かって緑の葉を誇らしげに揺らしているのでした。そのときは感心しただけですが、街を歩くとけっこうアスファルトやコンクリを突き破って草花は生えているのでした。

 やっぱり、つくしドリルの話はウソで、もっと違う別の力を植物は持っているのだろうと私は考えました。どんなに物理学の本を調べても答えはなく、もうそれはオカルト的な考えを、どんなに避けてみても願いとか祈りの力とかしか言い様のない力でした。

 あげく医学の本を調べると、カウンセリングで有名な河合隼雄も、精神疾患の多くが滅多に治るようなものでなく、願うことしか出来ないと。しかし、その願いや祈りが不思議なことに患者に作用を及ぼして治ったり変わったりしていくと。

 それは、絶対に医者が言ってはいけない秘密でしょう。

 ともかく私は、この世界にはそういう力があるのだと信じることにしました。

 

 

 
  

 
 文学  12  0

コメント

わはは…あれは陽に当たってひび割れたアスファルトの隙を縫って芽を出しただけで、植物自身が破った訳ではないです(笑)
でも別の意味でいい教訓にはなりますよ…「如何に法の隙間を縫って儲けるか?」「如何に人の弱点を突いて稼ぐか?」
アスファルトに咲く花は、人間に処世術を教えてくれています。植物の世界も世知辛いものですね(笑)

Re: タイトルなし

とは言いましても、大根がアスファルトを割る力学的な解明も、雨だれ石をうがつのも何滴で穴が開くのかも計算は出来ないのです。そこに詩人は神を見るわけです。

 と、このくらい言わねば隙間にも入れそうにもない世知辛い世の中です。

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