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   母が日本琴を初めて一年になり、春が過ぎ、また春が訪れようとしているのに、いまだにサクラさくら♪を弾いております。

人間というのは、こんなに上達しないものなのか、まったく私には不思議なことでした。

 猫を轢いた者は、猫踏んじゃったしかピアノが弾けないように、うちの母も何ものかに呪われているのかもしれないと、ヤマハの先生達が心配してしまうほどでした。

 とある夜明けの晩、外から異様な気配を感じた私は外に飛び出すと、そこには紫の服を着た御婦人が立っていました。そして、うちの方をじっと睨んでいました。ほどよい熟し方は和風魔女で、きっと呪文などなくとも黙って猫くらいなら呪い殺せるのでしょう。

 私に気づいた熟女は、その場を去ろうとしましたが、思い直したようにゆっくりこっちを向きました。
「私は損ばっかりしているの。」
 和風魔女は身の上話を始めました。なんでもピアノを買ったらグランドピアノだったそうで家に入らなかったのだそうです。それで泣く泣くピアノは、たけもとピアノに引き取られていったそうです。
「それは大損をしましたね。」
 
「ホホホホホ。」
 和風魔女は去って行きました。

 私が彼女に二度目に会ったとき、魔女は右手を後ろに隠して近寄ってきました。私は出刃包丁を持っていると身構えました。すると、魔女は新聞に包んだ菊の花を私に差し出しました。きっと墓参りに行くのだろう、そう思っていると、
「どうぞ。」
 
 その花は造花の菊で、三途の川の向こうではこんな感じの花なのでしょう。
「市場で買った花はすぐ枯れますから。フフフフ。」

 そのあと、私は何かに魅入られたように、和風魔女と今晩テニスコートの横にあるカラオケボックスに行く約束をしてしまいました。それは私が子供のころに見た幽霊が怖いくらい美しかったのです、もう一度、寒気がするくらい美しいものにつつまれたい好奇心のせいかもしれません。

 和風魔女のヒザ枕で子守歌を聴きながら、肩をとんとんされると命を落とすことになるかもしれない、そう思いましたが彼女の襟元からすごい良いにおいがしてきて、ポワーンとなって、もう明日なんかどうでもよくなったのです。

 その晩、私は夢遊病者のように和風魔女に連れられカラオケボックスに行きました。そこは、持ち込みOKの店で客も少なく、店員も気を遣って目線すら合わせませんでした。狭いムッとするピンクの室内で、私は背中を魔女の白い細い指で撫でられ、
「どんどん飲みなさい。」
 ささやかれました。

 そして、和風魔女が一番最初に歌った曲は、安室奈美恵の「TTRY ME!!」でした。

 かごめかごめ、とうりゃんせ、そんな暗く悲しい歌を聴かされると思っていた私は、とてもがっかりしてしまいました。
もう、そのあといつまで私が狼に変身せずにいられるかなんて、そんなもの酒の量と時間の問題、それはもうそこまで迫ってきているのでした。

 

 
 

 

 
 音楽  15  0

コメント

わはは…相手が魔女だろうが、物の怪だろうが、「牡丹灯篭」の様な幽霊だろうが、男はたぶらかされてナンボの生き物です。
大いに精気を吸われてやって下さい…枯れ果てて干物になったら、否が応でも三途の川を渡れますよ(笑)

Re: タイトルなし

すごく熟しすぎた柿みたいなニオイがしました。土とミイラのようなニオイがしたらやばいので逃げようと思います。

URL | donnguri77 ID:-

No title

Thanks for finally writing about >劇団 どんぐり  和風魔女 <Loved it!

Re: No title

You are welcome.   どんぐり

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