反骨精神
おとつい、親戚のオジサンが亡くなった。とても珍しい難病と戦い、なくなった。
葬儀場でボクは堂々と涙を流した。音楽を聴いて涙をながし、物語に涙するように。
お腹を下にしないと内臓が焼けない、人が焼かれると色んな炎が出ると言っていたオジサンが、いま火葬場で焼かれている。
火葬場の外に出ると、そこには煙突もなく、煙すら上がっていなかった。
幾百億の炎と戦ったオジサンは立派な骨だと骨焼き人に褒められた。そうだ、オジサンは立派だ。
丸ごと残った大腿骨は壺に入らないから壺に入れるなと骨焼き人は言う。
ボクは箸で大腿骨を掴み、何十年、立ち続けてきた重みを味わった。
そして、大腿骨を壺に入れた。それがボク達の反骨精神。
骨焼き人は白い手袋をはめ、手の平で骨をバリバリと押し潰した。次から次と押し潰した。
オジサンの骨が壺を突き破ることは出来なかった。
ボクはすべて終わったのだと納得する。
コメント
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2019/04/12 19:40 編集 返信donnguri77
2019/04/13 08:39 URL 編集 返信骨焼き人さんはさぞ骨が折れた(折ったのか?)事でしょう。
sado jo
2019/04/14 20:31 URL 編集 返信この世にこんな仕事があるのだなと驚きました。
donnguri77
2019/04/15 18:31 URL 編集 返信